WSF OpenID Connect Login

国外第Ⅲ相試験:PEACE-3試験(海外データ)

動画でのご紹介はこちら

PEACE-3試験〈海外データ〉:試験デザイン

多施設共同、ランダム化、非盲検、国外第Ⅲ相臨床試験 

多施設共同、ランダム化、非盲検、国外第Ⅲ相臨床試験 

*1:簡易疼痛質問票で評価した直近24時間の最悪疼痛スコア(BPI WP24)<4
*2:2018年に、2ヵ所以上から4ヵ所以上に変更
*3:LHRHアゴニストまたはアンタゴニストによる継続的アンドロゲン遮断療法(ADT)
ERA223試験の高い骨折率の懸念に基づく盲検解除を受け、骨修飾薬(ビスホスホネート、デノスマブ)の併用を必須とするプロトコル改訂を実施(2018年4月、119例の患者登録後)

層別化因子:国、ベースライン時のBPI WP24(0-1 vs 2-3)、ドセタキセル治療歴(あり vs なし)、骨修飾薬使用の有無(使用なし or ≦4週間 vs >4週間)、アビラテロン治療歴(あり vs なし)

目的無症候性または軽度症候性の骨転移を有するCRPC患者を対象に、エンザルタミド単独療法に対するエンザルタミド+ゾーフィゴ併用療法の有用性を検証する。
主要評価項目画像判定に基づく無増悪生存期間(rPFS)*4[検証的解析項目]
重要な副次評価項目全生存期間(OS)、次治療開始までの期間(TTNT)、疼痛増悪までの期間(TTPP)、症候性骨関連事象(SSE)初回発現までの期間
その他の副次評価項目二次治療における無増悪生存期間、オピオイド使用までの期間、前立腺癌特異的生存期間、骨病変進行までの期間、EQ-5D-5LによるQOLなど
安全性評価項目治験薬投与下で発現した有害事象、骨折の発現率、骨折初回発現までの期間など
解析計画
  • rPFSおよびOSは、層別化因子を用いた層別log-rank test(有意水準:片側0.025)により解析した。また、Kaplan-Meier法を用いて中央値[95%信頼区間(95%CI)を含む]を推定し、ハザード比(95%CIを含む)を層別Cox比例ハザードモデルにより算出し、比例ハザード性をsupremum testにより評価した。
  • rPFSの改善をハザード比0.68と設定し、片側0.025の有意水準で検出力90%とした場合、446例(登録期間78ヵ月以上)の患者で必要なrPFSイベントは283件であった。
  • OSは2回の解析を計画した。OSの改善をハザード比0.75と設定し、片側0.025の有意水準で検出力70%とした場合、最終解析に必要なOSイベントは299件であった。主解析時のOSの中間解析では、ガンマファミリーα消費関数に基づく有意水準(片側検定)を用いた。
  • 重要な副次評価項目は、逐次的ゲートキーピング法を用い、階層的手順に従って解析した(OS、続いてTTNTとTTPPを同時に、これらがともに有意な場合はSSE初回発現までの期間の順)。TTNT、TTPPおよびSSE初回発現までの期間は、Semi-parametric Fine-and-Gray回帰モデルにより評価した。

*4:画像判定に基づく無増悪生存期間(rPFS)の定義:
治験医師評価による、ランダム化から、PCWG3に基づく最初の増悪またはあらゆる原因による死亡までの期間。
増悪の評価は、骨シンチグラフィー、胸部、腹部、骨盤部の造影CTまたはMRIを用いて実施し、増悪イベントは以下のいずれかとした。

  • 軟部組織病変に関するRECISTv1.1に準拠した客観的疾患進行
  • 2つ以上の新たな骨病変の出現を増悪とするが、左記の出現が初回の評価時点(治療開始12週間以内±1週間以内、すなわちフレアが起こり得る期間)であった場合のみ、6週間以上経過後に実施されるスキャンにおいて2つ以上の追加の新病変が確認されることをもって増悪とする(2+2ルール)
  • CRPC :去勢抵抗性前立腺癌
  • PCWG3 :Prostate Cancer Working Group3
  • LHRH :黄体形成ホルモン放出ホルモン

Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)

PEACE-3試験とERA223試験

 PEACE-3 試験1,2)*1ERA223 試験3)*2
登録期間2015/11 – 2023/032014/03 – 2016/08
データカットオフ日2024/2/192018/2/15
デザイン第Ⅲ相、ランダム化、非盲検、実薬対照第Ⅲ相、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照
患者登録基準(抜粋)
  • CRPC患者
  • エンザルタミド及びゾーフィゴの治療歴なし
  • 無症候性/軽度症候性
  • 2ヵ所以上の骨転移あり(~2018)
  • 4ヵ所以上の骨転移あり(2018~)
  • リンパ節転移は許容
  • DEXA*3検査のTスコア ≧ -2.5(2018~)
    [骨粗鬆症4)の除外のため]
  • 内臓転移なし
  • WHO PS 0/1
  • CRPC患者
  • 化学療法未治療
  • 無症候性/軽度症候性
  • 2ヵ所以上の骨転移あり
     
  • 短径3cm以内のリンパ節転移
  • DEXA検査の規定なし
     
  • 内臓転移なし/脳転移なし
  • ECOG PS 0/1
投与群試験薬群:エンザルタミド+ゾーフィゴ
対照薬群:エンザルタミド
試験薬群:ゾーフィゴ+アビラテロン+prednisone*4/ プレドニゾロン/
対照薬群:プラセボ +アビラテロン+prednisone*4/ プレドニゾロン
主要評価項目画像判定に基づく無増悪生存期間
(rPFS)
症候性骨関連事象無発症生存期間
(SSE-FS)
骨修飾薬治験医師の判断(~2018)
必須(2018~)
ベースライン時点で投与されている患者
のみ継続使用が許容

*1:国外試験(海外データ)
*2:国際共同試験(海外データ、日本人を含む)
*3:DEXA:二重エネルギーX線吸収測定法
*4:国内未承認

出典より作表

ゾーフィゴ静注電子添文[2025年3月改訂(第2版、再審査結果)]
7.用法及び用量に関連する注意(一部抜粋):化学療法未治療で無症候性又は軽度症候性の骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌患者に対する本剤とアビラテロン酢酸エステル及びプレドニゾロンの併用投与は推奨されない

1)Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)
2)Gillessen S, et al.: Eur Urol. 87: 285-288, 2025(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料、コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)
3)Smith M, et al.: Lancet Oncol. 20; 408-419, 2019.(本研究はバイエルの資金により実施された。著者には、バイエルから講演料・コンサルタント料等を受領した者、およびバイエルの社員5名が含まれる。)
4)WHO Techincal Report Series 843

患者背景

 エンザルタミド+ゾーフィゴ
併用群
(n=222)
エンザルタミド
単独群
(n=224)
全体
(n=446)
年齢、中央値(範囲)70.0歳(43.0~90.0)70.0歳(47.0~90.0)70.0歳(43.0~90.0)
初回診断からの期間、中央値(範囲)3.4年(0.0~22.4)2.9年(0.5~28.1)3.3年(0.0~28.1)
転移性前立腺癌の診断からの期間、中央値(範囲)1.5年(0.0~18.1)1.5年(0.0~28.1)1.5年(0.0~28.1)
ADT開始からの期間、中央値(範囲)1.9年(0.0~19.6)1.9年(0.0~14.4)1.8年(0.0~19.6)
ベースライン時の疼痛スコア、n(%)
BPI WPスコア 0-1122(55.0)121(54.0)243(54.5)
BPIWPスコア 2-379(35.6)89(39.7)168(37.7)
BPI WPスコア >39(4.1)10(4.5)19(4.3)
欠測12(5.4)4(1.8)16(3.6)
ランダム化前のデノスマブまたはビスホスホネートの使用(>4週間)、n(%)77(34.7)77(34.4)154(34.5)
ドセタキセル治療歴、n(%)67(30.2)66(29.5)133(29.8)
アビラテロン治療歴、n(%)4(1.8)7(3.1)11(2.5)
WHO PS 0、n(%)152(68.5)154(68.8)306(68.6)
Gleasonスコア、n(%)
<882(36.9)73(32.6)155(34.8)
≧8138(62.2)147(65.6)285(63.9)
欠測2(0.9)4(1.8)6(1.3)
ランダム化時のステージN1、n(%)57(25.7)52(23.2)109(24.4)
ランダム化時のステージM1b、n(%)220(99.1)223(99.6)443(99.3)
限局性骨病変**、n(%)
0(限局性骨病変なし)19(8.6)19(8.5)38(8.5)
<10109(49.1)105(46.9)214(48.0)
≧1093(41.9)99(44.2)192(43.0)
欠測1(0.5)1(0.4)2(0.4)
ランダム化時のステージM1c、n(%)2(0.9)1(0.4)3(0.7)
ベースライン時の骨外性病変、n(%)77(34.7)73(32.6)150(33.6)
PSA、中央値(Q1-Q3)、ng/mLn=189
24.0(7.8~68.8)
n=192
21.4(8.0~57.6)
n=381
22.4(7.9~62.0)
アルカリホスファターゼ、中央値(Q1-Q3)、IU/Ln=207
106.0(78.0~183.0)
n=218
124.5(85.0~216.0)
n=425
119.0(81.0~203.0)

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

*:前治療としてのドセタキセルまたはアビラテロンは、ADT併用での転移性去勢感受性前立腺癌(mCSPC)に対する治療の場合に許容された。

**:EORTC画像診断ガイドラインに従い、放射線科医が骨病変の種類を報告し、限局性、びまん性または不明瞭のいずれかに分類する。骨シンチグラフィーで特定可能な限局性骨病変のみがカウントされる。

Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)

治療状況(投与回数と治療期間)

  • ゾーフィゴの6回投与完遂率は87.9%であった。
  • エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群のエンザルタミド治療期間の中央値は17ヵ月、エンザルタミド単独群は14ヵ月であった。
  • 本解析時点で、エンザルタミド投与はエンザルタミド+ゾーフィゴ併用群56例(25.7%)、エンザルタミド単独群44例(19.6%)で継続していた。

データカットオフ日:2024年2月19日

 エンザルタミド+ゾーフィゴ
併用群
エンザルタミド
単独群
ゾーフィゴ投与回数**n=215 
6回、n(%)189(87.9)
5回、n(%)4(1.9)
<5回、n(%)21(9.7)
エンザルタミド治療期間n=218n=224
中央値(範囲)17ヵ月(1~83)14ヵ月(0.2~71)
  • :エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群へ割り付けられた222例中、4例(1.8%)がいずれの試験治療も実施されず、3例(1.3%)はエンザルタミドのみ投与された。
  • ** :ゾーフィゴが投与された215例中1例については本論文での記載なし(ESMO2024では欠測1名と報告されていた)

Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)より作表

rPFS[主要評価項目、検証的解析結果]

  • エンザルタミド単独群に対するエンザルタミド+ゾーフィゴ併用群の優越性が検証された(ハザード比0.69、p=0.0009)。
  • rPFS中央値はエンザルタミド+ゾーフィゴ併用群で19.4ヵ月、エンザルタミド単独群で16.4ヵ月であった。
rPFS[主要評価項目、検証的解析結果]

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

追跡期間中央値:エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群42.3ヵ月、エンザルタミド単独群41.1ヵ月、データカットオフ日:2024年2月19日

Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)

rPFSのサブグループ解析

  • rPFSに対する治療効果(ハザード比)は、解析対象となった全てのサブグループで一貫していた。
rPFSのサブグループ解析

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

  • ENZ: エンザルタミド
  • df: 交互作用の自由度
  • **: 事後解析であるが、安全性確保を目的とした当該情報が試験結果に及ぼした影響を検討することの重要性を考慮し情報提供する。

Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)

OS[重要な副次評価項目、中間解析]

  • エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群はエンザルタミド単独群よりもOSが延長した(ハザード比0.69、p=0.0031)。
  • OS中央値はエンザルタミド+ゾーフィゴ併用群で42.3ヵ月、エンザルタミド単独群で35.0ヵ月であった。
OS[副次評価項目、中間解析]

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

追跡期間中央値:エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群42.3ヵ月、エンザルタミド単独群41.1ヵ月、データカットオフ日:2024年2月19日

Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)

次治療開始までの期間[重要な副次評価項目]

  • エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群はエンザルタミド単独群よりも次治療開始までの期間が延長した(ハザード比0.57、p<0.0001)。
  • 24ヵ月時点の次治療開始率は、エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群で29.9%、エンザルタミド単独群で50.9%であった。
次治療開始までの期間[副次評価項目]

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

追跡期間中央値:エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群42.3ヵ月、エンザルタミド単独群41.1ヵ月、データカットオフ日:2024年2月19日

Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)

次治療の内訳

病勢進行例に対する次治療は以下のとおりであった。

次治療エンザルタミド+ゾーフィゴ
併用群
エンザルタミド
単独群
化学療法(他治療の併用の有無は問わない)73例(75.3%)99例(70.7%)
ホルモン療法15例(15.5%)18例(12.9%)
PARP阻害薬2例(2.1%)3例(2.1%)
その他2例(2.1%)13例(9.3%)

PARP:poly ADP-ribose polymerase

Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)

重要な副次評価項目(一覧)

重要な副次評価項目の結果は以下のとおりであった。

重要な副次評価項目エンザルタミド+
ゾーフィゴ併用群
(n=222)
イベント数/症例数
エンザルタミド
単独群
(n=224)
イベント数/症例数
ハザード比
[95% CI]
p値
OS110/222129/2240.69
[0.52~0.90]
0.0031a
(0.0035b
次治療開始までの期間94/222133/2240.57
[0.44~0.75]
<0.0001c
(<0.0001d
疼痛増悪までの期間89/192e88/194e1.03
[0.77~1.37]
0.5737c
(0.5700d
SSE初回発現までの期間44/22247/2240.93
[0.62~1.38]
- f

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

  • a: 層別log-rank test(片側検定)
  • b: Permutation-based log-rank test(片側検定)
  • c: 層別Fine-and-Gray test(片側検定)
  • d: Permutation-based Fine-and-Gray test(片側検定)
  • e: 疼痛評価対象集団[ベースライン時にオピオイドが投与されておらず、ベースライン時のBPI WP24スコアが9未満であった患者]
  • f: 副次評価項目の解析には、ゲートキーピング法を用いた階層的手順で実施された。今回の解析では上位項目の次治療開始までの期間と疼痛増悪までの期間のうち、疼痛増悪までの期間が事前に規定した有意水準を満たさなかったため、SSE初回発現までの期間の検定は実施しなかった。

※層別化因子:ベースライン時の疼痛スコア、ドセタキセル治療歴、ランダム化時に報告された骨修飾薬の使用状況

追跡期間中央値:エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群42.3ヵ月、エンザルタミド単独群41.1ヵ月、データカットオフ日:2024年2月19日

Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)

有害事象

有害事象*1
CTC-AE ver. 4.03
エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群
(n=218)
エンザルタミド単独群
(n=224)
全グレードグレード≧3全グレードグレード≧3
全有害事象、n(%)218(100)143(65.6)216(96.4)125(55.8)
重篤な有害事象、n(%)93(42.7)62(28.4)66(29.5)41(18.3)
死亡に至った有害事象*2、n(%)7(3.2)7(3.2)4(1.8)4(1.8)
中止に至った有害事象、n(%)13(8.0)12(6.7)

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

  • *1: 有害事象は発現件数ではなく、発現患者数を示す。
  • *2: 死亡に至った有害事象はグレード5。

死亡に至った有害事象(重複あり)
[エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群: 急性心筋梗塞 1例(0.5%)、心停止 2例(0.9%)、Covid-19 1例(0.5%)、敗血症性ショック 1例(0.5%)、脳出血 1例(0.5%)、自殺 1例(0.5%)、急性腎障害 1例(0.5%)、肺臓炎 1例(0.5%)(重複あり)]
[エンザルタミド: 多臓器不全症候群 1例(0.4%)、敗血症 1例(0.4%)、脳出血 1例(0.4%)、脳血管障害 1例(0.4%)]

本論文には、重篤な有害事象名、投与中止に至った有害事象名の記載はないため、各薬剤の安全性に関する情報は、最新の電子添文をご参照ください。

有害事象*1
CTC-AE ver. 4.03
エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群
(n=218)
エンザルタミド単独群
(n=224)
全グレードグレード≧3全グレードグレード≧3
いずれかの群で>10%発現した有害事象、n(%)
高血圧118(54.1)73(33.5)133(59.4)77(34.4)
貧血46(21.1)10(4.6)23(10.3)5(2.2)
好中球減少症23(10.6)10(4.6)1(0.4)0(0.0)
便秘31(14.2)0(0.0)25(11.2)0(0.0)
下痢46(21.1)1(0.5)20(8.9)2(0.9)
悪心60(27.5)1(0.5)17(7.6)3(1.3)
無力症38(17.4)3(1.4)24(10.7)4(1.8)
疲労83(38.1)12(5.5)87(38.8)4(1.8)
体重減少84(38.5)7(3.2)63(28.1)1(0.4)
体重増加23(10.6)0(0.0)23(10.3)0(0.0)
食欲減退44(20.2)0(0.0)31(13.8)2(0.9)
関節痛34(15.6)0(0.0)25(11.2)1(0.4)
背部痛49(22.5)4(1.8)41(18.3)2(0.9)
骨痛56(25.7)9(4.1)81(36.2)11(4.9)
ほてり20(9.2)0(0.0)30(13.4)0(0.0)

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

  • *1 :有害事象は発現件数ではなく、発現患者数を示す。

顎⾻壊死(グレード1以上)が13例に報告された︓エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群で10例(4.6%)、エンザルタミド単独群で3例(1.3%)であった。
顎骨壊死の発現は緊急安全通知書発出前で3/115例、緊急安全通知書発出後で10/327例であった*2 緊急安全通知書発出日:2018年3月14日
*2 :事後解析(緊急安全通知書発出前後での顎骨壊死の発現に関しては事後解析であるが、安全性情報であることを考慮し情報提供する。)

Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)

骨折(有害事象)の発現状況

  • 安全性解析対象集団における骨折の発現状況は以下のとおりであった。
 エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群
(n=218)
エンザルタミド単独群
(n=224)
骨折発現症例*1、n(%)53(24.3)30(13.4)
骨折症例の登録時期
緊急安全通知書発出より前*2、n30
(56例中の53.6%)
12
(59例中の20.3%)
緊急安全通知書発出より後*2、n23
(162例中の14.2%)
18
(165例中の10.9%)
観察期間中の骨修飾薬(デノスマブまたはビスホスホネート系薬剤)の使用(骨折のための使用を除く)
なし、n(%)24(45.3)13(43.3)
あり、n(%)29(54.7)17(56.7)
初回骨折時期
治療期間*3中、n(%)45(84.9)24(80.0)
治療期間*3後、n(%)8(15.1)6(20.0)

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

症状または病因の有無を問わず、プロトコルで規定した試験治療中または試験治療後に発生した全骨折を評価対象とした。

  • *1: 複数回の発現例は1例としてカウント
  • *2: 事後解析(骨折に関わる有害事象における「緊急安全通知書発出前後」は事後解析項目であるが、安全性情報であることを考慮し情報提供する。)
    緊急安全通知書発出日:2018年3月14日
  • *3: 試験治療薬投与開始日から最終投与後28日まで

Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)

Worst grade of treatment-emergent AE として記録された骨折事象#の詳細

 エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群
(Safety population: n=218)
エンザルタミド単独群
(Safety population: n=224)
項目
グレード
12345≥3≥112345≥3≥1
鎖骨骨折        1    1
肋軟骨骨折       1     1
大腿骨頸部骨折        1    1
大腿骨骨折  11 22       
腓骨骨折 1    1       
足骨折11    2       
骨折22    411    2
仙骨骨折2     2       
手骨折 1    1       
股関節部骨折*  1  11       
上腕骨骨折        1    1
腰椎骨折112  24       
膝蓋骨骨折 1    1       
骨盤骨折 1    1       
橈骨骨折        1    1
肋骨骨折7     731    4
肩骨折1     1       
脊椎圧迫骨折11    2       
脊椎骨折* 31  14 11  12
胸骨骨折       1     1
胸椎骨折1     11     1
歯牙破折 1    1       
外傷性骨折        1    1
尺骨骨折  1  11       
手首関節骨折* 2    2       
病的骨折**454  413542  211

#治療期間中(初回投与日~最終投与28日後)に記録された有害事象のうち“Fracture”と付く事象名をTable S7より抜粋(治療期間後も含めて骨折のあった患者数をカウントしたTable 4(1症例中複数の骨折があった場合は1と集計)とは数値が一致しません)、† CTCAE version 4.03による評価
*別途独立したCTCAE Grading基準を有する; **Pathological Fractureと記録されたもの以外にも病的骨折が含まれる可能性がある

Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)

骨折初回発現までの期間[安全性評価項目]

  • 24ヵ月時点の初回骨折率は、エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群17.1%、エンザルタミド単独群11.3%であった。
初回骨折までの期間[安全性評価項目]

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

追跡期間中央値:エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群42.3ヵ月、エンザルタミド単独群41.1ヵ月、データカットオフ日:2024年2月19日

Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)

まとめ

国外第Ⅲ相試験(PEACE-3試験)で、無症候性または軽度症候性の骨転移を有するCRPC患者446例を対象に、エンザルタミド単独療法に対するエンザルタミド+ゾーフィゴ併用療法の有用性が検討された。

PEACE-3試験におけるrPFS、OSの結果は以下のとおりであった。

  • rPFS[主要評価項目、検証的解析結果]
    エンザルタミド単独群に対するエンザルタミド+ゾーフィゴ併用群の優越性が検証された(ハザード比 0.69、p=0.0009、層別*1log-rank test)。
    中央値:エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群19.4ヵ月、エンザルタミド単独群16.4ヵ月
  • OS[副次評価項目]
    エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群は、エンザルタミド単独群よりも延長した(中間解析結果、ハザード比 0.69、p=0.0031*2、層別*1log-rank test )。
    中央値:エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群42.3ヵ月、エンザルタミド単独群35.0ヵ月

*1:ベースライン時の疼痛スコア、ドセタキセル治療歴、ランダム化時に報告された骨修飾薬の使用状況
*2:中間解析の有意水準は0.0034以下とした

PEACE-3試験における安全性の主な結果は以下のとおりであった。

  • 有害事象(全グレード)の発現率は、エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群218例中218例(100%)、エンザルタミド単独群224例中216例(96.4%)であり、エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群の主な有害事象(全グレード)は高血圧118例(54.1%)、体重減少84例(38.5%)、疲労83例(38.1%)、悪心60例(27.5%)、骨痛56例(25.7%)などであった。
  • 骨折*3の発現は、エンザルタミド+ゾーフィゴ併用群で53例(24.3%)、エンザルタミド単独群で30例(13.4%)であった。

*3:試験治療中または試験治療後、症状または病因の有無、または骨修飾薬使用の有無を問わない

ゾーフィゴ適正使用ガイド補遺
エンザルタミドとの併用治療に関するQAからの抜粋

  • 併用治療を選択される場合には、骨修飾薬の併用等による骨折の予防をご検討ください。
  • 個々の患者において想定されるベネフィットとリスクを十分考慮の上、適切にご判断ください。


ゾーフィゴ適正使用ガイドの 補遺(2025 年 5 月改訂)【Q6】エンザルタミドとの併用治療は可能か?より抜粋

患者登録基準

主な選択基準(抜粋)1,2)

  • 組織学的に前立腺腺癌と確定診断された患者
  • 無症候性または軽度症候性(BPI WP24:簡易疼痛質問票の項目3(直近24時間の最悪疼痛)のスコア(0~10)が4未満)
  • 骨転移が4ヵ所以上*1認められた患者(リンパ節転移の有無は問わない)
  • 多病巣性骨病変を有する患者(superscanを有する患者は除外)
  • 以下のいずれかのPCWG3に基づく進行性CRPCの定義を満たす患者
    • PSA値上昇のみの進行:1週間以上間隔をあけた測定でPSA値の上昇が連続して確認され、最終値が2ng/mL超の患者
    • 骨病変の進行:PSA上昇による進行にかかわらず、2つ以上の新たな骨病変の出現が確認された患者
    • リンパ節病変の進行:PSA上昇による進行にかかわらず、RECIST 1.1に準拠した進行が確認された患者
  • WHO Performance status 0-1
  • 過去12ヵ月以内のDEXA検査のTスコア ≧ -2.5[骨粗鬆症3)の除外のため]*2
  • 血清テストステロン<50ng/dL
  • 両側精巣摘出または試験期間中にLHRHアゴニストまたはアンタゴニストによるADTを継続している患者
  • 十分な骨髄機能(好中球絶対数≧1.5×109/L、血小板数≧100×109/L、ヘモグロビン≧10.0g/dL)を有する患者
  • 前治療または併用療法
    • ドセタキセルの前治療は、去勢感受性の状態で投与され、ADT開始後4ヵ月以内に開始された場合は許容(注:CRPCに対してドセタキセル治療歴のある患者は除外)
    • mCSPCに対してアビラテロンを投与され、1年以上奏効または病勢が安定していた場合、アビラテロンの前治療は許容(注:CRPCに対してアビラテロン治療歴のある患者は除外)
    • アビラテロンによる前治療は、ランダム化の少なくとも4週間前に中止されていれば許容
    • ビカルタミドまたはフルタミドによる前治療は、ランダム化の少なくとも48時間前に中止されていれば許容

*1:2018年に、2ヵ所以上から4ヵ所以上に変更
*2:2018年に追加された

主な除外基準(抜粋)1)

  • 内臓転移を有する患者
  • CRPCに対してドセタキセル治療歴のある患者
  • CRPCに対してアビラテロン治療歴のある患者
  • エンザルタミド、アパルタミド、ニュベクオ及びゾーフィゴによる前治療歴のある患者
  • CYP17阻害剤(アビラテロン、orteronel*3)との併用療法を受けている患者およびケトコナゾールを併用している患者
  • 半身外部放射線治療歴のある患者。他の種類の外部放射線治療を受けた患者は、骨髄機能を評価し、ヘモグロビン、絶対好中球数、血小板のプロトコル要件を満たしている場合は許容
  • 他の放射性核種による治療歴のある患者
  • 痙攣発作の既往歴のある患者
  • エンザルタミドまたはゾーフィゴに関連する化合物に対する既知の過敏症がある患者

*3:国内未承認

  • 1) Tombal B, et al.: Ann Oncol. 36; 1058-1067, 2025.(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。
    論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)
  • 2) Gillessen S, et al.: Eur Urol. 87: 285-288, 2025(本試験は医師主導臨床試験であり、バイエルは試験費用の一部と製剤を提供した。論文の著者にはバイエルより講演料・コンサルタント料等を受領している者が含まれる。)
  • 3) WHO Techincal Report Series 843