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適正使用ガイド

Q4 アビラテロン酢酸エステルとの逐次治療において安全性の懸念はあるか?

アビラテロン酢酸エステル及びプレドニゾロンとゾーフィゴの逐次治療における有効性と安全性に関し、ランダム化比較試験により確立されたエビデンスはありませんが、これまでの使用経験においては、アビラテロン酢酸エステルの前治療歴がある患者へのゾーフィゴ治療において、骨折の発現率が特に高い傾向や新たな安全性の懸念は認められていません。

【解説】

アビラテロン酢酸エステル(以下、アビラテロン)及びプレドニゾロンとゾーフィゴの逐次治療における有効性及び安全性を検証するランダム化比較試験はこれまでに実施していないため、逐次治療のエビデンスは確立されていません。


海外非盲検単群試験(iEAP試験1、US EAP試験2)や海外実臨床下で実施された観察研究等(REASSURE3、PARABO4、Flatiron医療データベース研究5)の事後解析では、現時点で、アビラテロンの前治療歴がある患者(アビラテロンの投与がゾーフィゴ投与開始時点より前に終了している患者)へのゾーフィゴ治療において、骨折の発現率が特に高い傾向1,3,4,5 や新たな安全性の懸念2,4 は認められていません。しかし、いずれも結果の解釈においては、症例数が限定的、観察期間が短い、比較対照群のない単群試験の事後解析であり患者背景の偏りが存在する可能性がある、などの考慮が必要です。なお、ゾーフィゴ治療後のアビラテロン治療時の実臨床データについては、現時点において公表されたデータはありません。

1. 非盲検単群海外第Ⅲb相試験であるiEAP試験(708例)において、アビラテロン前治療歴がある患者aおよびアビラテロン治療歴がない患者bにおける症候性骨関連事象(SSE)の発現状況を事後解析により検討した結果、下表の通りでした。アビラテロン前治療歴がある患者の背景は、治療歴がない患者および全体集団と比較してより病態が進行している特徴が示唆され(PSA高値、化学療法やエンザルタミドの前治療歴ありの割合が多い等)、SSEの発現頻度(特に骨への外部照射)が高い傾向が示唆されました。病的骨折の発現頻度は各集団で同程度でした1

表. iEAP試験におけるSSE発現状況1
  アビラテロン前治療歴ありa(n=223) アビラテロン治療歴なしb(n=321) 全体c(n=708)
いずれかのSSEの発現 26% 14% 21%
症候性の病的骨折 5% 5% 6%
脊髄圧迫 7% 4% 5%
骨への外部照射 20% 9% 15%
腫瘍に起因する整形外科的介入 4% 2% 3%

a : アビラテロンの投与がゾーフィゴ投与開始時点より前に終了している場合

b : アビラテロンの投与がゾーフィゴ投与開始前およびゾーフィゴ投与中に無い場合

c : ゾーフィゴとアビラテロンの併用期間がある患者はaおよびbに該当しないため、aとbの合算はcに一致しない

2. 海外実臨床下で実施された前向き観察研究REASSURE(中間評価(カットオフ2018年7月)、1435例、観察期間中央値9.1ヶ月)において、アビラテロン前治療歴がある患者dおよびアビラテロン治療歴がない患者eでのSSEの発現状況を、さらに骨修飾薬(BMA)有無別に事後解析により検討した結果、下表の通りでした。重篤な骨折の発現頻度はアビラテロン前治療歴がある患者、治療歴がない患者、さらにBMA併用の有無に関わらず同程度でした3

表. REASSUREにおけるSSE発現状況3
  アビラテロン前治療歴ありd(n=431) アビラテロン治療歴なしe(n=675) 全体f(n=1435)
BMAあり
(n=220)
BMAなし
(n=211)
BMAあり
(n=302)
BMAなし
(n=373)
BMAあり
(n=720)
BMAなし
(n=715)
いずれかのSSEの発現 18% 25% 19% 20% 20% 22%
骨折g 2% 2% 2% 3% 2% 3%
脊髄圧迫g 2% 1% 2% 1% 2% 1%
骨への外部照射 11% 18% 13% 13% 13% 15%
腫瘍に起因する整形外科的介入 1% 0% 0% 0% <1% 0%
骨関連事象による病勢進行 8% 10% 7% 9% 8% 8%

d : アビラテロンの投与がゾーフィゴ投与開始時点より前に終了している場合

e : アビラテロンの投与がゾーフィゴ投与開始前、投与中、および投与終了後に無い場合

f : ゾーフィゴとアビラテロンの併用期間がある患者はdおよびeに該当しないため、dとeの合算はfに一致しない

g : 重篤な骨折および脊髄圧迫は、ゾーフィゴ投与期間および最終投与の30日後までに発生した場合、因果関係が否定されない重篤例の場合は全試験期間中で報告対象とされた。


国内使用成績調査(PMS)hの中間解析(95例)では、少数例で観察期間が短いなど解釈に注意を要するものの、現時点において新たな安全性の懸念を示唆するようなデータは得られていません6。骨折は2例(肋骨骨折、大腿骨骨折、いずれも転倒を伴っていた)に認められましたが、いずれも担当医師によりゾーフィゴとの因果関係は否定されました7
95例のうち、アビラテロンの前治療歴iがあった患者は33例(34.7%)で、うち1例に肋骨骨折が認められました。なお、もう1例の大腿骨骨折はゾーフィゴの投与開始前からアビラテロンが継続投与されていた患者でした7

h :  患者登録期間:2016年6月~2017年11月

:  アビラテロンの投与がゾーフィゴ投与開始時点より前に終了している場合


BMA        :   bone modifying agents

iEAP        :   international early access program

PMS        :   post marketing surveillance

SSE         :   symptomatic skeletal events

US EAP    :   the U.S. early access program